2倍速で生きる女 NEW

やりたいことが多過ぎて他人の2倍くらいのペースで熟していかないと時間が足りなくなった人。結婚、出産してさらに深刻な事態に。

先輩は神様という文化

SNSの普及により、プロ野球選手のプライベートが覗けるようになった。ファンとしては嬉しい限りである。私も贔屓の球団を中心として、多くの選手のインスタやTwitterを見ている。他球団の選手同士でも交流があったり、意外な趣味を持っていたり、普段野球の試合を見ているだけではわからない一面が見えて面白い。

そこで気になったのが、先輩後輩の仲が非常に良いことである。昔とは比べものにならないとは思うが、平成生まれの私の世代でさえ、中高生時代の上下関係はそれなりに厳しいと感じていた。特に礼節を重んじる野球部では、先輩と後輩の関係は相当シビアな印象があった。

選手の投稿を見ていると、年下の選手が年上の選手に対して、友達のように接している動画やコメントが流れてくる。流石に10歳くらい年が離れていればないだろうが、2・3歳差の選手だと良く見かける。私の感覚だと1年でも学年が上ならば気を遣うので、こう言った投稿を見ると「先輩でしょ?大丈夫なの?」と余計な心配をしてしまうのだ。

私が上下関係を気にし始めたのは中学生の時だった。入部したのは文化部だったが、活動時間も非常に多く雰囲気は完全に体育会系。下級生はこうしないといけない、これをやってはいけないという所謂「部則」が存在するような部だった。1年生の時は兎に角2年生が怖くて常にびくついていた。3年生に至っては雲の上の存在で、緊張のあまりまともに口を利くことすら出来なかった。だが、時代はゆとり。この頃は「根性論は良くない」という風潮だったので、2年生に上がる際には厳しい上下関係は学校から禁止された。それでも1年間で徹底的に植え付けられた「先輩は敬え」という精神が抜けることはなかった。

その後、私は大学に進学し2年生の時、漫画研究会に入った。そこで衝撃だったのは先輩後輩の関係が近すぎる事。辛うじて敬語は残っていたが、まるで友達と話すように3年生の先輩と話す2年生。馴れ馴れし過ぎる…。あまりに驚いた私は、同学年の人にこの事を話してみた。すると、「ヲタク系の部活なんてこんなもん」との事だった。どうやらここでは先輩に気を遣う必要はないらしい。ちなみに別の文化系の部活に見学に行った際には、先輩に気を遣っていたら笑われてしまった。

もしかしたら私が思っている以上に、上下関係なんて気にしない人たちがいるのかもしれない。そう言えば、生意気な態度の後輩って可愛いし、先輩から好かれやすくて羨ましい。そんな事を思いつつ、私は今日も先輩を前にして緊張のあまり上手くお喋り出来ない。